100%できるわけがない

開発計画が通り、予算も確保できたとあるプロジェクトの立ち上げで、起きた出来事です。

専用機で提供していたオフコンをインテルの汎用サーバに移植するプロジェクトで、仮想化ソフトウェア(Xen)上に、オフコンのOSであるASPをのせて動作させようとするものです。
のちに「PRIMEQUEST ASP動作機構」として製品化しました。

担当のリーダー(キーマン)を10人ほど集めた「キックオフ」ミーティングで、事件は起きました。
今回の計画の概要を説明、このメンバで開発し1年半後に出荷するという計画を話したところ・・・

とある幹部社員が、「100%ができるわけがない!」と叫びに似た声を上げたのです。

正直な話、面食らったのは私のほうで、ここまで開発予算や計画を半年近く準備をして、「キックオフ」までこぎつけたのに、自分が人選した開発メンバにまさか、
「全否定」されるとは、想定外だったのです。あとから、本人に確認すると、その時点では、本気でできないと思っていたらしい。

そういうことが起こるのは、『情報不足』で『やりかたがわからない』というのが大きな理由です。
これまで経験のない新プロジェクトを進める時、技術は進歩しているので、つねに新しい情報を仕込んでいないと、間違った結論になってしまいます。

わたしに、この開発のオファーが来た時、「(1)ハードウェアのファームの設計部隊の開発者をメンバにできる。」「(2)ネットワークカードの接続問題」の2つさえ解決すれば、なんとかなる。と即座に思ったのは、30年前のアーキテクチャである「オフコンOSの仕組み」に精通していたことと、最新の「仮想化ソフトウェア(Xen)」の動向を理解していたことが判断材料となっていたわけです。

実際には、様々な問題点を洗い出し、技術的にクリアしていく必要があるのですが、当然、すべての動作確認ができるはずがありません。
その状況で、開発をスタートさせることになるので、うまくいかなかった時は全責任をとる思いで、腹を据えてやるしかないのです。

そういった苦難を乗り越え、当初の計画の半年遅れで製品を出荷することができ、その技術をベースに「オフコンクラウド」を製品化することができました。
結局、開発の当事者は、リスクを説明しろ!と迫られても「リスク」だらけなわけで、「根拠なき自信」というのが大事です。
そして、なによりもそれを信じてついてきてくれた「開発メンバー」と支えてくれた「経営者や上司」がいて、はじめてうまくいくものです。

そういった先の見えない(本人は見えているつもりの)ワクワクした開発してみると楽しいですよ。
いろいろな心配事で夜も寝られなくなるのは、我慢が必要ですが・・・ほどほどに。

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