企業研究:オービック(なぜ、営業利益率60%が達成できるのか?)

東証1部上場のオービックは、中小企業向けのERP(統合基盤業務システム)のOBic7など自社製品に特化し、コンサルティングから構築・保守まで自前で提供。

近年は、主軸のERPを大企業に拡大、無借金経営、クラウド化も進展。

会社基本情報

  • 売上(21.3):839億円
  • 営業利益:481億円(営業利益率57%)
  • 売上比率と(利益率)
    • システムインテグレーション(SI)45、(55)
    • システムサポート44、(70)
    • オフィースオートメーション11、(16)
  • 時価総額:2兆円

ご参考

  • 富士通:時価総額3.6兆円(21.3)
    • 売上3.6兆円、営業利益率7.4%
  • NEC:時価総額1.3兆円(21.3)
    • 売上3.0兆円、営業利益率5.1%

社長インタビュー(日経ソリューション 2003.8.30より)

当時のインタビュー記事から、高い営業利益率の理由を探った。

  • 自社IP
    • ERPのOBiC7をはじめ自社製品に特化
    • 他社に先駆けて強い製品を開発
    • 若い社員にチャンスを与え、組織の活力を維持
  • 自前で提供
    • 間接販売は一切せず、コンサルティングから構築・保守まで自前で提供
  • 高い生産性
    • 各部門の生産性の見直し
      • 700人のエンジニアの生産性を10%上げれば70人月に
    • 失敗プロジェクトをなくす
      • 原因を分析し、社員にフィードバック。最低限のチェック項目はマニュアル化
      • 赤字プロジェクトの原因は、上流工程の概要設計。お客様との解釈の違いを生じないように

当時(2003年)の社長 相浦明氏

1946年生まれ、69年同志社大学文学部卒、74年オービック入社。

93年取締役、99年常務、02年専務。03年社長就任。

当時(2003年)のオービック

1968年設立。売上400億円(03.3)。営業利益106億円。

社員数1200人(03.8)。98年12月東証二部上場。00年3月東証一部上場。

オービック社長インタビュー

  • 競合他社のワークスアプリケーションズについて
    • ワークスはカスタマイズを一切行わず、顧客の要望はバージョンアップ時に取り込む
    • 当社は、カスタマイズで対応。顧客数が増えた時に、ワークスのやり方でうまくいくかは疑問
  • 新しいプロジェクトの発足について
    • 人事・給与ソフトで一番をめざす
    • 開発部門、SE、営業、マーケティング推進を一緒にしてチームを作った
    • 営業を入れたのは、マーケットの情報が一番入ってくるから
    • マーケティング推進は、営業とSEの橋渡し的な部門
    • お客様のニーズは日々変化している。
    • 製品はすぐに陳腐化してしまうので、製品の開発スピードを上げる
  • 社員(1200人)の比率
    • 営業:300、(内、マーケティング推進:50)
    • 開発・SE・CE:700
    • 管理部門:150

ワークスアプリケーションズ

03年:売上57億円。経常利益:17億円

21年:売上67億円

オービックとGAFAの比較

営業利益率は極端に高いが、GAFAに比べると成長率(売上の増加率)は低い。

成長率を求めると、多額の投資をして圧倒的に有利なアプリケーションを開発し、顧客毎のカスタマイズをせず、手離れのよいストックビジネスにする必要がある。

良い悪いではなく、ビジネスモデルの違いと言える。

ストックビジネス戦略のまとめ

  • 自社IPの強化
    • 顧客のニーズにもとづいた自社IPの強化(徹底的なキャッシュアウト対策)
    • 限定した分野でも1番をめざす製品開発
  • 自前で提供
    • 間接販売はせず、コンサルティングから構築・保守まで自前で提供
    • 顧客毎のカスタマイズを実施
  • 自前で営業
    • 社員の15%~20%を営業に
    • マーケット情報を取り入れ、製品にフィードバックする仕組みが重要