日本製の検索エンジンは必要か?

日本製の検索エンジンがないことを非常に不安におもっている。

国別の検索エンジン

以下が国別の検索エンジンの一覧である。()内の%は世界シェアであるが、Googleが91.9%と圧倒的な強さである。
シェアがなくビジネスになっていないと考えられる検索エンジンを、先進国といわれる国のほとんどが持っている。

日本Yahoo (1.5%) / Google
中国Baidu (1.1%)
アメリカGoogle (91.9%)
Bing (2.7%)
Ask.com
DuckDuckGo (0.7%)
WebCrawler /Google,Yahoo,Bing
Dogpile 
AOL 
Metacrawler 
Lycos 
ドイツEcosia
Fireball 
WEB.DE 
ロシアYandex (0.9%)
Rambler 
イギリスWolfram Alpha
オランダStartpage.com / Google
Ilse 
フランスQwant 
アラブ首長国連邦Maktoob 
バングラディッシュPipilika 
チェコSeznam
アイスランドLeit.is
インドRediff
イスラエルWalla! 
韓国Naver 
Daum 
スウェーデンEgerin 
Entireweb 
スロベニアNajdi.si 
スイスSearch.ch
ベトナムCoc Coc 
国別の検索エンジン

※INFO CUBIC BLOG(世界の検索エンジン30選)を参考に作成

検索エンジンの経済的価値

日本において、Googleが意地悪したり、なくなったりしたらどうなるか?「Yahoo」がサービスを提供しているからいいじゃない。という見方は正しくない。日本企業であるソフトバンク下の「Yahoo」が検索サービスを提供しているが、検索エンジンはGoogleを利用している。Googleは私企業であるため、企業の方針やアメリカの政策的な問題でサービスを停止したり、検索の部分的な非開示や検索順序の操作をする可能性がある。その一方で、経済の根幹となる知的活動において「Google」はとても重要なツールである。

経済的な価値は、GNPの0.01~1%程度はあると考えられ、15兆円~1500兆円/年の経済的な価値と考えてもそれほどオーバーではないだろう。

情報大航海プロジェクト

では、日本は無策だったのかと言えば、そうでもない。
2006年から「情報大航海プロジェクト」が経済産業省主体で国家予算300億円を投入して行われた。

当時のわたしは社内システム(コーポレイト)に異動になったころで、Googleマップの社内活用(Googleマップ上に人の活動情報を表示する)のため渋谷にあるGoogle株式会社を訪問したりしていた。こちらは15万人の社員をかかえている社内システムなので高額な契約になる可能性があるにもかかわらず、Google株式会社の担当者は商売気が一切ない。また、受付の人が美人である。という下世話な印象である。また、社内のメールサーバをG-Mailにしたら設備投資や運用費用など、相当なコストダウンが可能になると個人的に考えていたが、検討することは一切なかった。

情報大航海プロジェクトについては、ネーミングが素敵であるが、国プロであることから、国プロの成功事例をほとんど聞かないし、日本企業への「バラマキ」政策と感じていたので、心配ではあったが、検索エンジンの重要性、期待もしていたし、賛成していたので、うまくいくことを願っていた。
が、わずか5年で2010年にはこのプロジェクトは、ほとんど成果をだすことなく中止されてしまった。

情報大航海プロジェクト」のホームページは、「国立国会図書館」に保存されている。

まとめ

いろんな経緯があり「情報大航海プロジェクト」は、「大後悔」プロジェクトになってしまったが、DX(デジタルトランスフォーメーション)が標榜する今こそ、「日の丸検索エンジン」は、必要ではないでしょうか。

Googleのように人が使うことを前提にした検索エンジンではなく、ITシステムが使う検索エンジンが必要で、AI(人工知能)や量子コンピュータが実用レベルになってきた今が開発のチャンスだとわたしは考えます。

また、自動運転で活用できるレベルの地図情報の整備も、国として「情報戦略」の策定が必要ではないだろうか。日本の優秀な官僚、日本の知識人の英知を集めれば不可能な話じゃないと思うのです。