ITベンダー担当者からみた日本の銀行
ITベンダーの一担当者であったわたしからみた日本の銀行についてかいてみたい。
銀行の大まかな種類は、以下のとおりで、監督省庁は「金融庁」です。
- メガバンク
メガバンクは、規模が大きく、国内外に幅広いネットワークを持つ大手商業銀行です。主なメガバンクには、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行があります。これらの銀行は、企業向け・個人向けの幅広い金融サービスを提供しています。
- 地方銀行
地方銀行は、特定の地域に密着して営業を行う銀行で、地域経済の発展を支援する役割があります。主に、地域の中小企業や個人向けに融資や預金サービスを提供しています。
- 信託銀行
信託銀行は、信託業務を中心とした金融サービスを提供する銀行です。主な業務には、資産運用、不動産管理、遺産整理、年金運用などがあります。三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行などが信託銀行に該当します。
- ネット銀行
ネット銀行は、インターネットを主なチャネルとしてサービスを提供する銀行で、店舗を持たないか、あるいは限られた店舗数を持っています。手数料が低く、24時間利用可能なサービスが特徴です。楽天銀行、SBIネット銀行、ソニー銀行などがネット銀行に該当します。
- 農協(農業協同組合)
農協は、農業や地域の発展を支援するための金融機関で、農業者や地域住民を対象にした金融サービスを提供しています。主に、預金、融資、保険、給付金の支払いなどのサービスがあります。
監督省庁
銀行は、金融庁(Financial Services Agency、FSA)によって監督・規制されています。金融庁は、金融機関の健全性や金融市場の安定を維持するために、銀行やその他の金融機関の運営状況を監視し、法令や規制に従って事業を行っているかどうかをチェックしています。金融庁は、以下のような役割を果たしています。
- 金融機関のライセンス発行や取り消し
- 金融機関の資本適格性やリスク管理の監督
- 金融機関の法令遵守や内部統制の評価
- 不正行為や違法行為への対応
- 金融政策や規制の策定や改正
金融庁は、銀行だけでなく、証券会社、保険会社、投資信託、金融商品取引業者など、幅広い金融機関に対して監督・規制を行っています。また、金融庁は、国際的な金融規制や金融協力の枠組みにも参加しており、他国の監督機関と連携して国際的な金融安定を維持する役割も果たしています。
さらに、金融庁は消費者保護にも力を入れています。金融機関が提供する金融商品やサービスに関して、適切な情報開示や顧客対応が行われているかどうかを監視し、消費者の利益を守るための取り組みを行っています。金融庁は以下のような消費者保護に関する活動も行っています。
- 金融機関からの苦情対応や紛争処理の支援
- 金融教育や情報提供を通じた消費者の意識向上
- 消費者保護に関する法律や規制の整備
- 金融機関の顧客対応や情報開示の改善を促す指導
また、地方自治体や他の関連機関と連携して、金融機関の地域密着型のサービスや地域経済への貢献をサポートしています。
金融庁の役割は多岐にわたり、金融機関の健全性や信頼性を維持するだけでなく、消費者保護や地域経済の発展にも貢献しています。銀行やその他の金融機関は、金融庁の監督・規制に従いながら、安定した金融サービスを提供し続けることが求められています。
農協の監督省庁と特徴
農協(農業協同組合)は、農業や地域の発展を支援するための金融機関です。農協は農業者や地域住民を対象にした金融サービスを提供しており、主に預金、融資、保険、給付金の支払いなどのサービスがあります。農協の特徴は、地域密着型のサービスであり、特定の地域やコミュニティのニーズに応えることができることです。
農協の監督省庁は、主に2つの機関に分かれています。
- 農林水産省(Ministry of Agriculture, Forestry, and Fisheries、MAFF): 農林水産省は、農協の基本的な方針や組織運営、農業・地域振興に関する業務を監督しています。農協が地域の農業や経済発展に貢献できるよう、支援や指導を行っています。
- 金融庁(Financial Services Agency、FSA): 金融庁は、農協の金融業務に関する監督・規制を担当しています。農協が安全・健全な金融サービスを提供し続けられるよう、資本適格性やリスク管理、法令遵守などに関する監督を行っています。
農協は、これらの監督省庁の指導・監督のもと、地域の農業や経済発展に貢献しながら、金融サービスを提供しています。農協の特徴としては、地域に密着したサービス提供や、農業者や地域住民のニーズに特化した金融商品・サービスが挙げられます。また、農協は地域の農産物の販売や集荷など、農業に関する多様な支援活動も行っています。
ITベンターの担当者からみた銀行
ITベンダーの担当者からみた一番厳しい銀行はメガバンクである。
当時のメガバンクはSEが常駐しており、物凄い人件費をかけて開発を行っています。そこの最高責任者は安定した金融サービスを提供するという重責があり、システムの不具合を説明に行くと、40人くらいの大会議になり、説明を求められます。この時は、2つの大変さがあります。
ひとつは、顧客の最高責任者が金融監督庁に説明するための詳細な理由を提供すること。もう一つは、本来内輪であるはずのSEが敵になることです。顧客に常駐しているために、当然、顧客側につく気持ちもわかるのですが、助け舟など出してくれたことはありません。
わたしは、技術担当の顧客のリーダーにできるだけわかってもらうように説明します。最高責任者と言っても技術的なことを判断できません。したがって技術担当リーダーが実質的に判断することになります。
余談ですが、顧客の技術担当と運用担当はとても仲が悪いです。ようするにシステムの出来の悪いところは運用マニュアルでカバーするようなことが行われていたため、運用担当はシステムに不満を持ち、押し付けられ感があるわけです。
また、顧客常駐のSEは、虎の威を借るキツネになることも多く、顧客の権限が憑依したりするのでたちが悪いです。
まあ、障害を出したのはメーカーであり、わたしの説明責任は逃れないので、仕事として割り切り、夜中まで作成した資料を朗読するしかないわけです。
ここでひとつ疑問がでてきます。同じ金融監督庁が所轄しているのに、ネット銀行とメガバンクは全く対応が違います。顧客はともに説明責任があると思うのですが、対応が大きく違うのです。個人的には、金融監督庁の対応の仕方が違うのではないかと思います。ようするに全国規模のATMを持ち、システムが停止するとメディアにとりあげられ、金融監督庁も責任を問われるからでしょう。あきらかに金融監督庁の指導のレベルが違うのでしょう。
さらに疑問がでてきます。なぜかメガバンクのほうが障害が多いような気がします。わたしの感覚も同様です。
人もお金もたくさんかけているのに不思議ですね。結局、人が多ければシステムの障害が起こりにくくならないということです。人が多いと責任があいまいになったり、意思決定に時間がかかったりします。SEも顧客に言われたことしかやりません。言われないことをやって、責任問題になるのが嫌なのです。そういったわけで、ろくでもないシステムができあがるわけです。
残念なことに、SEも従順な人ばかりでコミュニケーション能力以外の能力は上がりません。これが、日本の金融システムの構図だとわたしは思います。
だいたい、20年以上前のことなので、今は変わっていることを祈るばかりです。
正直な話、勘定系の処理なんて通帳の付け込みだけなんで、銀行ごとに必要ないんです。それを別々に不完全なシステムを作っているので、ITベンダーは儲かることになるわけです。
全国の銀行・農協のシステムを一元化してしまえば、トータルな費用はとてつもなく下がります。勘定系システム以外のところで競争すればよいのです。
銀行間の取引きも簡単になります。また、マイナンバーで一元管理すれば、税金や所得などもすべて明確になります。
まあ、既得権益、組織の違い、システムの歴史など統合な困難な理由は沢山あります。
わたしが生きている間には、統合されることはないでしょう。
それを生業にして儲けていたので。。。もうけていたのは、会社がですが・・・もうしわけなく思うわけです。