80年代のソフトウェア業界:豊富な予算と人材の価値
80年代、私がソフトウェア業界に足を踏み入れた頃、予算はジャブジャブと言われるほど豊富で、プロジェクトの費用はきっちりと枠で管理されていました。私が担当したプロジェクトの予算は年間1億円を超えることも。そのような状況では、外注の人数を月に15人程度を確保する必要がありました。
この業界での成功の鍵は、人材の質で、優秀なメンバーを集めることができれば、開発はスムーズに進行し、問題が生じた場合も迅速に対処できました。逆に、能力の低いメンバーが多いと、報告やプロジェクトの立て直しに追われる日々となりました。
驚くべきことに、実際には2~3人のトップクラスの外注メンバーがいれば、多くのプロジェクトは成功への道を歩むことができます。このため、優秀な人材を確保・維持することが非常に重要です。新しい人材の採用は、前提の説明などのコストがかかるため、経験豊富なメンバーの維持を重視する傾向が強まりました。
開発予算の見積もりは、ソースコードのステップ数を基に行われ、大雑把なものであったことも特徴的でした。しかし、納品時の検収は形式的なものが多く、開発元の内容チェックは不十分であったことも事実です。
開発元もプログラムができる人ばかりでなく、外注まかせのケースも多々ありました。このため、納品直前になって、箸にも棒にもかからないような状況になることもあり、この時代には数多くのプロジェクトの修正や立て直しを経験しました。
人月商売は今も変わりませんが、生成AIなどがでてきて、ソースコードの作成や評価などがAIでできるようになることで、時代が大きく変わるのではないかと期待しています。まあ、これまでとは違う開発スタイルを模索する必要がありそうです。