企業研究:日産自動車とゴーン
カルロスゴーンが日産の経営再建を導き、再生させたことは紛れもない事実でしょう。
カルロスゴーンの功罪を整理すると、こういったところでしょうか?
良いところ
- 優れたリーダーシップ: 日産自動車の経営再建にあたって、積極的な財務改革を進め、生産設備の見直しや新興市場での販売拡大など、多岐にわたる施策を実施した。
- グローバル視野に立った経営: 日産自動車のグローバル展開を進め、アジア・アフリカ・中東などの新興市場での生産拠点の新設や販売網の拡大を進めた。
- エコカー技術の推進: 日産自動車のエコカー技術の開発に力を入れ、リーフをはじめとする電気自動車の開発や、エンジンの燃費向上などを実現した。
- 多文化・多言語の理解に対する配慮: ゴーンは、レバノン出身で、フランスのグローバル企業ルノーに勤務した後、日本の日産自動車のCEOに就任しました。彼は、様々な文化や言語に触れることができ、多様な環境に適応する能力を持っていました。そのため、日本の企業文化やビジネススタイルにも理解があり、ルノーとのアライアンスを推進することに成功しました。
- イノベーションの推進: ゴーンは、日産自動車のイノベーションに注力しました。電気自動車のリーフの開発や、自動運転技術の開発など、自動車業界の未来に向けた施策を実施し、日産自動車の技術革新に大きく貢献しました。
- 社員教育・育成の重視: ゴーンは、日産自動車の社員教育・育成に力を入れました。彼は、トップダウンの指示にとどまらず、社員の意見を積極的に取り入れ、チームワークやコミュニケーションの重要性を訴えました。また、グローバル人材の育成にも注力し、海外勤務の経験を積む機会を増やしました。
悪いところ
- 給与報酬の不正: ゴーンは、日産自動車の報酬について、実際よりも少ない金額を公表し、不正に高額な報酬を受け取っていたことが発覚した。
- 権力集中: ゴーンは、日産自動車での自身の権力を強化するため、ルノーとの間での財務・経営の統合に尽力し、日産自動車における他の経営陣の発言力を低下させたと言われている。
- 非常に高いプレッシャーの下で働いていた: ゴーンの経営スタイルは、非常に厳しいプレッシャーの下での業務遂行を要求していたと言われている。これは、会社の業績回復に成功した一方で、社員のストレスや健康被害をもたらすことになったとも考えられています。
- 経営陣との対立: ゴーンは、経営陣との対立が表面化していたと言われています。彼の経営スタイルや意見に対して反発する経営陣の存在があったため、意思決定において意見が分かれることがあったと言われています。
- 日産自動車のイメージ低下: ゴーンの報酬不正問題や、逮捕・亡命問題が発生したことで、日産自動車のイメージが低下する結果となりました。また、彼が逮捕された後、経営再建の道筋を担うことができる人材不足が問題となりました。
日産を再建できたのはカルロスゴーンの力が大きく、彼でなければ日産の復活はなかったと思います。
東芝やパナソニックもそういった経営者がいれば、日本企業も変わっていたかもしれません。
ゴーンの問題は、政権が長く続きすぎたに尽きるでしょう。
半面、優秀な経営者にありがちな後継者がいない。という問題があります。ユニクロの柳井さんも後継者をつくろうとして失敗しているし、日本電産の永守さんも、なんか副社長を大量に雇ったみたいですが、うまくいかないでしょう。
マイクロソフトのビルゲイツやアップルのジョブスなどは、後継者がちゃんとビジネスを大きくしているように見えます。これらの違いはなんでしょうか。
政治的な背景もありますが、そういった人材が育たない環境に日本がなっているのかな。とも思います。
いずれのせよ、これらの問題の本質を見極めないと日本は元気にならないと思います。